大阪大 iPS細胞から作った角膜シート移植でほぼ失明の患者が視力回復

2022年4月4日、大阪大の西田幸二教授(眼科学)らは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った角膜細胞のシートを「角膜上皮幹細胞疲弊症」の患者に移植する臨床研究が完了し、その結果、有効性を評価できた3人全員で視力が一定程度回復したほか、安全性にも問題がみられなかったことを発表した。2025年度の実用化を目指すとしている。

角膜上皮幹細胞疲弊症は3層構造の角膜の最も外側にある「角膜上皮」が感染症や薬の副作用で傷つき不透明になる病気で、視力が低下し、最悪の場合は失明に至ることもある。これまでは脳死患者からの角膜移植や患者の口の粘膜で作ったシートを移植するなどの治療が行われていたが、いずれも視力の回復には課題があった。

今回の研究で、もっとも効果の大きかった患者では視力が0.15が0.7と大幅に改善した。

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