遺伝子変異とは簡単に言うとどんな意味?遺伝子変異の種類や原因・影響をわかりやすく解説!

遺伝子変異とは生物やウイルスが持っている遺伝物質が、質的・量的に変化すること。およびその変化によって生じる状態のこと。突然変異とも言います。今回は遺伝子変異をわかりやすく解説するだけでなく、遺伝子変異の種類や原因、影響も解説します。

英語名:(Genetic)mutation、英語略:-
独:Genetische Mutation、仏:Mutation génétique
同義語:

目次

遺伝子変異とは遺伝物質が質的・量的に変化すること

生物やウイルスが持っている遺伝物質が、質的・量的に変化すること。およびその変化によって生じる状態のこと。突然変異とも。

カンタンに言うと遺伝子が変化すること

遺伝子(遺伝情報を持つDNA)の一部が、変化してしまうことを遺伝子の変異や、突然変異と言います。


DNAはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4種類の塩基(酸と対になる物質)から構成されるものです。

この塩基の配列が、入れ替わってしまったり(置換)他の塩基が入ってしまったり(挿入)、抜けてしまったり(欠失)することがあります。

たとえば本来「ATGC」と並ぶべき配列が「ATTC(置換)」や「ATCGC(挿入)」、「ATC(欠失)」などの配列に変化していますのです。

このように遺伝子の配列が異なる配列に変化してしまうことを、遺伝子変異と言います。

遺伝子変異の種類

遺伝子に変異が起きてしまう原因は、親から受け継ぐ先天的なものと、生まれてから発生する後天的なものの大きく二種類に分かれます。

先天的な変異(生殖細胞変異)

先天的な変異は、体を構成するすべての細胞でDNAの変異が見られるのが特徴です。

これは遺伝子の変異が、親から子へと受け継がれる生殖細胞(精子や卵子)の中に変異があることに由来します。すべての細胞は生殖細胞が分裂してできるため、生殖細胞に含まれる変異は全細胞に受け継がれることになるのです。

後天的な変異(体細胞変異)

遺伝性を持たず、生きていく過程で後天的に引き起こされるDNAの変異を体細胞変異と呼びます。

体細胞変異の場合はひとつひとつの細胞のDNAの中で起こるため、先天的な変異と違って、変異が起こった細胞から生じる細胞のみにDNAの変異が起こります。

遺伝子変異の原因

遺伝子の変異が起きる原因は、加齢やウイルス、化学物質や活性酸素などさまざまです。放射線やタバコなどにより、変異が起きやすくなるとも言われています。

またウイルスの感染によって、遺伝子が変化してしまうことも。ただし遺伝子の変異は外部の要因だけではなく、正常な細胞分裂の途中で偶然起こることもあります。

さらに加齢によって変異が起こりやすくなるなど、遺伝子の変異はあらゆる要因から引き起こされるのです。

遺伝子変異の影響は?

遺伝子変異の影響はどのようなものがあるのでしょうか。その影響は全て悪いものなのでしょうか。ここでは遺伝子変異の影響について紹介します。

遺伝子が変異すると病気になるの?

遺伝子の変異が起きても、必ずしも病気のような症状が起きる訳ではありません。重要な生命の機構に関わっていない部分が起きた場合は、とくに影響がないこともあります。

また、この変異が生存に有利に働いた場合は、進化の要因になるとも言われています。

そして遺伝子の変異が起きてしまったとしても、その変異を修復するシステムもヒトには通常備わっています。

このシステムがあるおかげで、変異は次の細胞へと受け継がれる前に除去・修復されるのです。しかし、その修復メカニズムそのものに影響を与える変異が起きてしまったり、加齢によってこのシステムの能力が低下してしまったりすることもあります。

結果、変異は取り除かれずに蓄積してしまい、病気などに繋がってしまうのです。

遺伝子変異はいつでもどこでも起こる可能性がある

遺伝子変異は決して珍しいことでもありません。DNAをコピーするうえでも、遺伝子の変異は偶然起こり得ます。

ヒトは膨大な数の細胞からできており、その細胞ひとつひとつが細胞分裂を繰り返しています。そのため確率上では、むしろヒトは誰でも数個の遺伝子変異を持っていると言えるでしょう。

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