ここ数年注目を集めている「幹細胞美容液」ですが、さまざまな商品が出回っています。
30代に入り、「エイジングケア(※1)に良さそうだから使ってみたい」と検討している方も多いと思います。
化粧品に使われている「幹細胞」とはどのようなものでしょうか。
この記事では幹細胞コスメの効果や、美肌ケアに取り入れたい幹細胞美容液の選び方と使い方についてお伝えします。
著者情報
湯浅 みちこ
美容ライター
エステティシャンとして現場で8年勤務後、スタッフ教育などサロン運営を経験。
コスメコンシェルジュ、化粧品検定1級、コスメ薬事法管理者の資格を取得し、美容ライターおよび薬事法ライターとして活動している。思春期ケアから更年期の肌悩みまで幅広く対応している。
幹細胞コスメは何由来か?が大切!
幹細胞コスメというものを初めて聞くと「何かしらの細胞が入ったコスメかな?」と思った方は多いと思います。実際には幹細胞コスメには幹細胞は入っていません。幹細胞を培養した上澄み液を配合したものが「幹細胞コスメ」と言われています。
化粧品で使われる場合、正確には「幹細胞培養液(エキス)化粧品」になります。
幹細胞は主にヒト由来、植物由来、動物由来の3つがあります。何由来かによっても効果が変わるのでそれぞれの特徴やメリット、デメリットを押さえておきましょう。
ヒト幹細胞
ヒト幹細胞は幹細胞の中でも最も効果が高いと言われています。医療分野では実際に幹細胞そのものが使われており、臓器を再生させる可能性があると研究が進められています。
化粧品で使われているヒト幹細胞は主に3つあります。
- 脂肪由来
- 臍帯血由来
- 臍帯由来
脂肪由来
ヒトの脂肪から取り出した脂肪由来の幹細胞の培養液は、ヒト幹細胞コスメの中でも一番多く使用されています。美肌を保つためのスキンケアに幅広く活用されています。
臍帯血由来
へその緒を流れる血液を「臍帯血」と言います。臍帯血を培養した幹細胞は「臍帯血細胞血順化培養液」と呼ばれています。
臍帯血には活発な幹細胞が含まれています。大人の幹細胞よりも成長因子を多く生み出すため、エイジングケアでも期待されています。
臍帯由来
へその緒のことを「臍帯」と言います。臍帯はへその緒の幹細胞で「ヒトサイタイ間葉幹細胞順化培養液」と呼ばれています。
ヒト幹細胞の中では、成長因子が最も豊富に含まれているため美容医療でも注目されています。
ヒト幹細胞のメリット・デメリット
ヒト由来幹細胞のメリットとデメリットは以下の通りです。
- メリット・・・アレルギーを起こしにくく、美肌効果が高い
- デメリット・・・商品そのものが高額になりがち
植物幹細胞
植物から抽出した幹細胞で主に、種子や根の先端部分、茎の付け根部分の活発な箇所を使用しています。
スキンケアでは、リンゴを使用したリンゴ幹細胞やカミツレやアルガンなどから採取されています。
植物幹細胞のメリット・デメリット
植物幹細胞のメリットとデメリットは以下の通りです。
- メリット・・・植物由来は低コストで生産できるため、安価で購入できる
- デメリット・・・ヒト由来に比べ、アレルギーを起こす場合がある
動物幹細胞
主に牛や豚、羊から抽出されたものが主流です。安全性については研究中のため、化粧品では現在国内では使用はされていません。
幹細胞培養液に期待できる効果
幹細胞培養液には美肌をサポートする成長因子が多く含まれています。この成長因子が肌に浸透し、細胞を活性化する仕組みです。
具体的にどのような美肌効果があるのかを見ていきましょう。
肌のターンオーバーをサポート
肌のターンオーバーは、肌の生まれ変わるサイクルのことです。表皮の基底層から細胞が生まれ、垢となって剥がれ落ちるまでの期間は28日が正常なサイクルになります。
そのサイクルは年齢が上がるごとに遅くなり、古い角質が肌に溜まった状態になってきます。ターンオーバーのサイクルが遅くなるとシミやくすみの原因となります。
幹細胞培養液には、ターンオーバーを正常化する働きがあると言われています。正しいサイクルでターンオーバーをサポートすることで、シミができにくい肌作りに効果があると期待されています。
肌に弾力を与える
幹細胞培養液には、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸など肌のハリを保つ成分を増やすことが期待されています。アラフォー世代になると小じわやハリ不足に悩む人が急増するので、早めに取り入れたい成分と言えます。
うるおい保持効果
30代以降になると特に感じるのが、肌の乾燥やうるおい不足です。幹細胞培養液は肌にうるおいを与え、キメを整えながらなめらかな肌に導きます。
幹細胞美容液の選び方
エイジングケアや美肌サポートに取り入れたい幹細胞美容液ですが、選び方によって効果が変わってきます。幹細胞美容液の選び方のポイントを紹介します。
ヒト由来か植物由来か
幹細胞美容液には大きく分けると、ヒト由来と植物由来の2つがあります。
植物由来の幹細胞エキスには、肌にうるおいやハリを与える働きがあります。ヒト由来の美容液よりも低コストなものが多く、効果もヒト由来に比べるとマイルドになります。
ヒト由来の幹細胞エキスには植物幹細胞にはない「人の細胞のレセプターに作用する」働きがあることから、肌そのものを活性化させることが期待できると言われています。
また、ヒトの細胞から培養したエキスなのでアレルギーなどが出にくく、さまざまな肌質の方が使いやすい成分と言えます。
ヒト由来の方が価格は高いですが、肌への効果も価格に比例すると感じます。
幹細胞培養液と幹細胞培養液エキスの違い
幹細胞美容液の【全成分】をチェックすると、「幹細胞培養液」と「幹細胞培養液エキス」と記載されているものの2種類があります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
幹細胞培養液エキス
幹細胞培養液エキスとは、幹細胞を培養した上澄み液を水やアルコールで薄めたものです。
市販されているものの多くは、幹細胞培養液エキスの美容液が主流で価格もお手頃です。
実際に高濃度であっても(100%や70%など)、どのくらい希釈されたものか分からないので、濃度が高いから効果が高いとは限りません。
幹細胞培養液
幹細胞培養液とは、幹細胞を培養した上澄み液の原液のことです。
幹細胞培養液エキスに比べ、希釈されていないため、〇%配合というのはとても分かりやすいです。
幹細胞培養液を使用した美容液は、たとえ10%程度しか配合していない美容液でも高価で、万単位の商品のものが多いです。幹細胞培養液の配合濃度が30%のものはかなり高濃度と言えるでしょう。
幹細胞培養液の方が肌への効果も高いので、より美肌サポートに期待できます。
配合濃度はどのくらいか
幹細胞エキスがどのくらいの濃度で入っているかにより、肌への効果も変わってきます。少ないものより、配合量が多いものの方が効果が高い傾向にあります。
濃度として確実なのは、幹細胞培養液を配合した美容液で10%なら10%入っていると言えます。
幹細胞培養液エキス100%と幹細胞培養液10%を比較したら、幹細胞培養液エキス100%<幹細胞培養液10%というのも充分あり得るのです。
効果の高いものを使いたいのなら、幹細胞培養液で配合濃度の高いものがおすすめです。
幹細胞美容液の種類別の効果と価格のまとめ
以下に価格と効果をまとめていますので、幹細胞美容液選びの参考にしてください。
幹細胞美容液種類 | 効果 | 価格 | それぞれのポイント |
---|---|---|---|
植物幹細胞 | △ | ◎ | 価格が安いので購入、リピートしやすい |
ヒト幹細胞培養液エキス | 〇 | 〇 | 効果もありながら価格もリーズナブル |
ヒト幹細胞培養液 | ◎ | △ | 効果が非常に高く、価格も高い |
幹細胞美容液のおすすめの使い方
美肌に導く幹細胞美容液を、より効果的に使うための方法も合わせて見ていきましょう。
使用方法
美容液によって使用方法は若干変わりますが、基本的には化粧水の後に使用します。
- 手のひらに取り出し、両手の体温で温める
- 両手で顔を包み込むように、おさえながら全体になじませる
- ハンドプレスをしっかりとし、角質層に浸透させる
洗顔の後、一番に使うブースタータイプの美容液も、塗布の仕方は同じです。
肌悩みに合わせて他の化粧品と組み合わせる
幹細胞美容液は肌のターンオーバーをサポートしたり、ハリケアやくすみにも効果的です。
美容液は他のスキンケアと併用して使うのが基本なので、肌悩みにアプローチできるものを合わせて使用するのがおすすめです。
美白ケア化粧品と併用
透き通るようなシミの無い肌はすべての女性の憧れです。幹細胞美容液と美白ケア(※2)を併用することでよりシミができにくい肌に近づけるでしょう。
合わせるスキンケアは化粧水がおすすめです。幹細胞美容液の妨げにならないさらっとした肌なじみのよいタイプが使いやすいでしょう。
以下のような有効成分が配合されている化粧水がおすすめです。
- トラネキサム酸
- ビタミンC誘導体
- アルブチン
乾燥ケア化粧品と併用
肌が乾燥していると、幹細胞美容液が肌に浸透しにくいので効果が半減してしまう可能性もあります。肌にうるおいを与えることが美肌への近道なので、しっかりと保湿をしましょう。
合わせるスキンケアは、乳液やクリームが使いやすく、以下のような成分が配合されているものがおすすめです。
- セラミド
- コラーゲン
- ヘパリン類似物質(※)
- ライスパワーNo.11(※)
- グリセリン
(※)は有効成分としても配合されるもの
小じわケア化粧品と併用
気になる小じわは、幹細胞美容液とシワ改善成分をWで使用することで、相乗効果に期待ができます。
以下のような有効成分が配合されているシワ対応の化粧品がおすすめです。
- レチノール
- ニールワン
- ナイアシンアミド
上記の3つの成分はどれも、シワを改善する効果が認められた成分です。
自分に合った幹細胞美容液でエイジングケアを!
アラフォー世代になると、小じわや肌全体のゆるみが気になってくる頃です。
肌を土台からケアするなら、幹細胞美容液を使いながら+αの美肌成分を入れてスキンケアをするのがおすすめです。
幹細胞はまだ研究段階ですが、美肌ケアに欠かせない成分として美容業界でも注目されています。様々な種類があるので、効果や価格を比較しながら、自分に合った商品を見つけましょう。
(※1)年齢に応じたケア
(※2)メラニンの生成を抑え、シミそばかすを予防する
参考文献
PRTIMESヒト臍帯血由来幹細胞培養液 × ヒト臍帯由来幹細胞培養液
PRTIMES話題のヒト幹細胞コスメ