「ニキビが治ったのにニキビ跡が気になる」「ニキビ跡が何年も消えない」などニキビ跡でお悩みの方は少なくないと思います。
実は、一度できてしまったニキビ跡を治すのはとても難しいのです。
この記事では、ニキビ跡の種類に応じた対処法、ニキビ跡に対応するホームケアやクリニックでの美容治療などを紹介しますので、ご自身に合った方法でニキビ跡のケアをしていきましょう。
著者情報
タカヒ沙苗
美容皮膚科看護師 / 美容講師
看護師、保健師の他に、日本コスメティック協会認定インストラクターなど美容資格12個を持つ。
現在は、札幌市内の皮膚科、美容皮膚科で看護師として勤務する傍ら、美容講師として活動。
メディアにも出演し、正しい肌理論に基づくスキンケアの普及に努めている。
ニキビ跡はホームケアで治せる?
ニキビ跡は、化粧品などのホームケアだけで消すことはとても難しいです。
皮膚科の保険診療だけでも難しいため、ニキビ跡の根本治療には、自由診療であるクリニックでの美容治療を選択するのが良いでしょう。
もちろんニキビ跡の種類によっては、美容治療と同時にホームケアで治療していくのがよい場合もあります。
例えば、ニキビ跡の赤みの場合は、炎症を抑える成分のグリチルリチン酸ジカリウムやトラネキサム酸が配合されている化粧品を使うのがおすすめです。
ニキビ跡の色素沈着の場合は、ハイドロキノンクリームやビタミンC配合の化粧品を使うのも良いでしょう。
また、トレチノインやレチノールと言われるビタミンA配合の化粧品を使用する方法もあります。ビタミンAは毛穴やニキビ跡だけでなく、肌ダメージをケアする働き、肌のハリと潤い、弾力を保つ役割もあるため、ニキビ跡を改善する効果が期待できます。
美容治療でのニキビ跡治療も、1回治療しただけでニキビ跡が完全に消えてなくなるわけではありません。定期的に通院して治療する必要があります。
ニキビ跡の種類や状態によって治療方法が異なるため、医師の診察を受けて自分に合ったニキビ跡の治療を選択する事が大切です。
ニキビ跡ができる原因とニキビ跡の種類
ニキビ跡ができる原因は、ニキビの炎症が強かった事や、治るまでに時間がかかった事が考えられます。そのため、ニキビ跡を予防するには、ニキビができてからすぐに適切な治療やスキンケアをする必要があります。
ニキビ跡にはいくつか種類があります。
赤いニキビ跡
ニキビの炎症が落ち着いても、赤みが残った状態のものです。
赤く見えるのは、肌内部で炎症が続き、肌の表面がダメージを受けたことで薄くなり毛細血管が赤く見えているためです。
茶色いニキビ跡(色素沈着)
炎症が長引くと、肌を守ろうとしてメラニンが作られるため、色素沈着がシミのように跡として残ります。
クレーター
ニキビが悪化しニキビの傷が真皮に達すると、真皮を破壊します。炎症がひどい場合は、破壊された皮膚は修復できなくなり凹みとして残ります。また、真皮が修復できた所とできなかった所の差が、凸凹になります。それが、いわゆるクレーターと呼ばれるニキビ跡です。
実はクレーターにも種類があります。
①アイスピック型
アイスピック刺した跡のように、直径は2mm以下の狭く深いくぼみです。
②ボックスカー型
円形や楕円形のくぼみです。
③ローリング型
ローリングタイプは、浅くくぼんだニキビ跡です。
④肥厚性瘢痕
肥厚性瘢痕とは、しこりのことで、ニキビによる炎症が治まった後、壊れた真皮を修復しようとして細胞を作り過ぎてしまうことが原因です。盛り上がった状態のニキビ跡で顎や頬などにできやすいです。
ニキビ跡の種類別の治療方法
ニキビ跡の種類に分けて、治療方法を紹介します。ご自身のニキビ跡がどの種類か確認してから治療方法を参考にしましょう。
赤いニキビ跡の治療方法
色素レーザー治療
ニキビ跡の赤みを改善するために用いられるのが色素レーザー治療です。赤い色素に反応し、拡張した毛細血管を小さくし肌の赤みを引かせます。
IPL治療(フォトフェイシャル)
IPL治療は特殊な光を肌に照射することで、肌をキレイにする美容治療です。
色素の薄いシミや色素沈着、くすみ、ニキビ・ニキビ跡、そばかす、赤みなど毛穴の開きなど、幅広い肌悩みに対応しています。
LED治療、その他の治療
他には、肌のターンオーバーを促進させるLED治療やビタミンCや、トラネキサム酸などの成分を肌に浸透させ赤みを引かせる治療もあります。
茶色いニキビ跡(色素沈着)の治療方法
ピーリング
ニキビ跡の色素沈着にはピーリングが効果的です。ピーリングは酸性の薬剤を顔に塗り、汚れや角層を溶かすことで、肌のターンオーバーを正常にし、メラニンを排出しやすくして、シミ・くすみを改善します。
イオン導入やエレクトロポレーション
美白作用のあるトラネキサム酸やビタミンC誘導体を肌深部に導入するイオン導入やエレクトロポレーションなどの治療がおすすめです。
レーザートーニング
メラニン色素を外へ排出させるレーザートーニングもニキビ跡の色素沈着改善に効果が期待できます。
外用薬
医療機関で扱う外用薬では、トレチノイン、ハイドロキノンがあります。
トレチノインは、表皮の代謝を上げて、ターンオーバーを早めて、メラニンを外に出し新しい肌に入れ替える効果があります。
ハイドロキノンは漂白剤と同じ作用で、メラニン色素を薄くする働きがあります。
クレーターの治療方法
フラクショナルレーザー
クレーターには、フラクショナルレーザーが用いられます。
フラクショナルレーザーは、肌表面にレーザーを点状に照射することで、熱エネルギーを真皮に送ります。その結果、コラーゲンやエラスチンを増やし、真皮が活性化し、クレーターになった皮膚を少しずつ元の状態に戻していきます。
1回の照射で肌の10~20%を入れ替える効果があるため、最低でも5回以上は行う必要があります。
照射直後から、赤みや腫れ、ヒリヒリ感があり、赤みが治まるとかさぶたが点状にできるなど、ダウンタイムのある治療です。
ダーマペン
クレーターには、ダーマペンによる治療も効果が期待できます。
ダーマペンとは、超極細針で肌の表面に小さな穴を一時的に作ることで、肌が自分でコラーゲンを増やし、傷を治す力を高めて肌再生を促すもので、コラーゲン増殖法とも言われてます。
ニキビ跡を改善するホームケア
ニキビ跡の根本治療は、ホームケアだけでは難しいですが、以下のような工夫をする事で、症状の悪化を防いだり、症状改善のサポートに繋がります。
①刺激を避けるスキンケアをする
ニキビ跡は、摩擦などの刺激で悪化することもあります。
洗顔する時はしっかりホイップ状の泡を立てて、手と肌が触れないように泡を転がすように洗うことが大切です。
顔を拭く時も刺激の少ないガーゼタオルなどで押さえるように拭くようにしましょう。
②しっかりと保湿を行う
肌が乾燥していると外からの刺激を受けやすくなります。正常な肌の代謝サイクルであるターンオーバーも遅れてしまい、肌の回復が遅くなります。ヒアルロン酸やセラミド配合などの保湿力の高い基礎化粧品を使うのも良いでしょう。
③紫外線対策を徹底する
ニキビの炎症が起きている時に、無防備に紫外線に当たってしまうと、ニキビ跡の赤みや炎症後の色素沈着が強くなる場合があります。
日焼け対策には、以下のような事を意識しましょう。
・屋内でも毎日、日焼け止めを使用する
・サングラスや日傘の紫外線対策グッズを必要に応じて使用する
・夏場など外にいる時間が長い時は、2~3時間置きに日焼け止めを塗り直す
・日焼け止めはSPF15以上、夏場などはSPF30以上などシーンに合わせて選ぶ
④ニキビができたら、跡になる前に皮膚科を受診する
ニキビを潰したり、触ったりせずに、適切な外用薬で治療をすることは、ニキビ跡を予防する事に繋がります。
ニキビが悪化した状態が続くと、ニキビ跡も重症化しやすいです。特にニキビ跡の凹凸や色素沈着を後から治療するのは、費用も時間もかかってしまうため、予防を意識しましょう。
ニキビ跡を改善して自信を持てる肌に!
ニキビ跡はできてしまってから改善するのはとても難しいです。そのため、ニキビ跡になる前に、普段のスキンケアやニキビができた時の対応が大切になります。
ニキビ跡ができてしまったら、ニキビ跡の状態によって効果のある治療法は異なります。ご自身のニキビ跡の状態によって、改善方法を検討しましょう。
ホームケアでできること、正しいスキンケアや適切な化粧品を選ぶことも一つの選択肢です。
しかし、ニキビ跡の根本治療には、保険適用にならない美容治療が必要になります。美容治療は専門的な知識と技術が必要なため、美容皮膚科での相談が望ましいです。
自分にあった方法で、ニキビ跡を改善し美肌を目指していきましょう。
参考文献
ニキビ跡(痕)の種類と対処方法は? | ニキビを治したい 教えてアキ先生! |ニキビ一緒に治そうProject|製薬会社のマルホ (maruho.co.jp)
【医師監修】赤みのあるニキビ跡を治すスキンケアのコツ | スキンケア大学 (skincare-univ.com)