運動は最高のアンチエイジング法!プロ直伝の簡単若返り運動

「いつまでも若々しくいたい」「できれば健康的な美しさを保ちたい」というのは女性の永遠のテーマです。ちょっと頑張ればすぐに元の体型や肌に戻った10代、20代と比べて、30代を過ぎた頃から何をしても変わらない、効果が出にくい、と感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では最新の研究を参考にしながら、どんな種類の運動をどれくらい行うのがアンチエイジングに効果的か解説し、さらに効果的な運動を紹介します。目的別に日常に取り入れやすい運動を組み合わせて継続していきましょう。

著者情報

佐々木千紘

理学療法士 / ウォーキングヘルス協会代表理事/美容整体BodyArrange代表

理学療法士として病院で約8000名の患者のリハビリを担当。体の土台となる骨格を鍛える事で、病気の予防、肥満の改善、下半身太り、外反母趾、O脚などの脚のお悩みに効果があり、それらを簡単に矯正できる姿勢改善運動を考案し、ウォーキングヘルス協会を設立。整体とマッサージと骨格矯正を組み合わせたボディメイクサロンBodyArrangeを経営。

全国で歩き癖の矯正を指導、官公庁、IT企業、金融機関などストレスの多い業種への社員研修や、うつ病患者の再就職サポート施設で指導も行っている。その他、ジムやサロン向けに脚痩せメニューのコンサルや技術顧問、各種メディアに出演など幅広く活動。

目次

アンチエイジングに運動が効果的なワケ

アンチエイジングという言葉は、美容のイメージが強いですが「抗老化」「抗加齢」と訳され、医療分野でも研究が進んでいます。美しく若々しい体作りは、病気の予防や健康にも直結するということです。そしてどの研究においても、アンチエイジングには運動が欠かせない事に触れています。

運動がアンチエイジングに欠かせない理由を解説します。

ホルモンの影響による老化を予防する

女性がアンチエイジングを考える時、重要なのがホルモンの影響です。特に、女性ホルモン(エストロゲン)は40歳頃から急激に下がり、骨や筋肉、肌や髪を老化させます。20代と同じ生活をしていると、確実に外見も内面も老けていきます。

そんなホルモンの影響に対しても、早い内から運動を取り入れることでその影響を抑えられることが分かってきています。

さらに運動は、美肌効果や若返りホルモンとして有名な「成長ホルモン」や、アンチエイジングに大敵のストレスや血流低下に有効な「セロトニン」の分泌も促すことができます。ホルモンの影響からくる老化予防にも運動はとても大切です。

DNAレベルで老化を予防(テロメアを長く保つ)

「テロメア(telomere)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。テロメアは染色体の末端にあるDNA構造で、生まれた瞬間が一番長く加齢に伴い短くなります。近年、この長さが長いほど見た目が若く見える、ということが分かってきました。

そして、このテロメアを長く保つ効果的な方法の一つが運動とされています。若返りには運動が必要ということがDNAレベルでも分かってきました。

重力に対抗する筋肉で老化を予防

普段あまり意識しないかもしれませんが、私たちの体には毎日「重力」がかかり続けています。しわやたるみ、バストやヒップがたるむのも、腰やひざが曲がって老けた印象を与える原因も、下に引っ張る力があるからです。

この重力に対抗して美しい姿勢を保つには、運動でバランス良く筋肉を使うしかありません。「老け見え」の改善には運動が不可欠です。

アンチエイジングに効果的な運動と運動量

どんな運動でも一番大切なのは継続できる運動を選ぶことです。急に頑張り過ぎるとやめた瞬間にすぐに元に戻ってしまいます。運動自体がストレスになるのも逆効果です。無理なく続けられる運動に楽しい気持ちで取り組みましょう。

ここからは、女性がアンチエイジングのために行う運動について解説します。

おすすめの筋トレと運動量

筋トレは基礎代謝を上げ、筋肉量がアップし太りにくい体質が作れます。成長ホルモンの分泌を促すので、美肌作りにも効果的です。

筋トレの種類

若々しく女性らしい体を作るためには、ダンベルなどは使わない自重のトレーニングで十分です。一種類の筋トレを毎日ではなく、全身の筋肉をまんべんなく使うトレーニングを行いましょう。速く激しく行うよりもゆっくりとした「スロートレーニング」が成長ホルモンの分泌には有効です。

筋トレの量

目安は翌日に疲れや強い筋肉痛が起こらない程度のトレーニングです。最初は各トレーニングを5回ずつ→翌週は8回…など少しずつ増やしていき、最終的に10回×3セットでも疲れない状態を一つの目標にしましょう。

また、適当に10回行うよりも、綺麗なフォームで3回行う方がボディライン作りには効果があります。

おすすめの有酸素運動と運動量

呼吸で酸素を取り込みながら行う有酸素運動は、脂肪の燃焼やダイエットには欠かせません。テロメアを長くするには筋トレよりも有酸素運動の方が効果的という研究もあります。

有酸素運動の種類

ウォーキングやジョギング、スイミングなど取り組みやすいものがおすすめです。注意点はやり過ぎないことです。普段運動をしない女性が急にマラソンなどを行うと、体にとってマイナスになる活性酸素や疲労物質が溜まり、老化に繋がります。

有酸素運動の量

健康に必要な量は、運動を行いながら会話ができる程度の強さで1日30~60分程度が目安です。可能なら週5日以上、1週間の合計が150~300分となることが推奨されています。

ヨガやストレッチ

ヨガやストレッチは柔軟性を高めて、血流をアップする効果があります。運動と組み合わせることにより、体を柔らかく保ち、しなやかで若々しい体作りに繋がります。ゆっくりとした体の伸長はストレス解消やリラックスにもなるので効果的です。

プロがおすすめする簡単若返り運動

「アンチエイジング」と一言でいっても、気になる部分はそれぞれ違います。一番改善したいと思う部分から取り組むのも一つの方法です。

ここからは悩みのパーツ別の運動を紹介します。

老け顔対策の顔の筋トレ

老け顔の原因は肌の色やハリ感、たるみやしわです。加齢で少しずつ衰えるだけでなく、表情のクセにより、よく使う筋肉と使わない筋肉とが出てきて、たるみやしわに繋がります。全身運動と一緒にやっていただきたいのが顔の筋トレです。

ほうれい線解消トレーニング

  1. 椅子に腰かけ背筋を伸ばします。目線を上げ首が肩より前に出ないように注意します。
  2. 両手でバレーボールをつかむ程度の形にひらき、両耳を覆うように5本の指を頭につけます。
  3. 圧を加えたままつむじの方向に引き上げます。
  4. 引き上げたまま、口の形を「イーウー」と10回繰り返します。
ほうれい線を解消する運動

ポイント

普段から笑うことが少なかったりマスク生活で表情が乏しいと、筋肉が衰え「イー」の時に口角が下がりやすくなります。しっかりと口角を上げて行うと、素敵な笑顔にも繋がります。

体力アップと若々しくなるにはウォーキング

体力や体重のコントロール、若々しい印象のためにまず行って欲しいのはウォーキングです。「連続30分以上」「1日10,000歩」と以前は言われていましたが、現在はそんなことはありません。

1日の内に10分を3回、もしくは今までの生活にまずプラス10分で効果があると分かってきています。最近では速く歩く→ゆっくり歩く→速く歩く…を3分ずつ繰り返す「インターバル歩行」が若返りに有効と言われています。

また、目線を上げて姿勢よくいつもよりも大股で歩くと、バランスよく筋肉が使われ、たるみの改善にも効果的です。

骨盤が回らないように、へその向きを真っすぐ、お腹のインナーマッスルと呼吸を意識することでウエスト周りも引き締まります。

※歩く時間が長い人ほど認知症になりにくいというデータもあり、ウォーキングは脳の若返りにも有効です。

体の引き締めやボディメイクには筋トレ

引き締まった体を目指すなら筋トレは必須です。また、ストレッチを取り入れることでしなやかな体作りもできます。今回は若返りに効果が出やすいとされる体幹筋と下半身の運動を紹介します。

体幹引き締めにはプランク

プランクのやり方
  1. うつ伏せの状態から上体を起こし、両肘の位置を肩幅に開き前腕を床につける
  2. お腹と下半身を床から持ち上げて両方のつま先も立てる
  3. 頭から背骨、脚からかかとまで一直線になるように姿勢をキープする

1分間×3回を目安に行ってください。1分連続してキープできない場合は最初は15秒毎に休みながらでも大丈夫です。

下半身引き締めにはランジ

ランジのやり方
  1. 姿勢良く立ち両手を腰にあてた状態から、片足を大きく前に出す。
  2. 上半身はまっすぐのまま、膝が90度になるように足を床につく。
  3. その姿勢から、バランスを崩さないように元の姿勢に戻る。

左右10回ずつ×3回を目安に行ってください。

座った姿勢で短縮しやすい腸腰筋ストレッチ

腸腰筋ストレッチのやり方
  1. 仰向けに寝る。
  2. 右足は伸ばしたまま、左足を曲げ両手でできるだけ引き寄せて抱える。
  3. 腸腰筋が硬いと右足が床から浮く。浮かないよう、かかとを足裏方向に突き出しヒザを伸ばす。
  4. 右脚の股関節の前もも~太ももの前が心地よく伸びているのを感じながらキープする。

30~50秒左右1回ずつ行ってください。

運動のアンチエイジング効果を高めるコツ

運動の効果を高めるために、以下の事に気を付けましょう。 

座りっぱなしをやめる

長時間座っているとテロメアが短縮し、老化に繋がります。1時間に1度でも、椅子から立ち上がって伸びをしたり、部屋の中をぐるりと歩く習慣をつけましょう。

よい姿勢をキープする

姿勢を保つためには「抗重力筋」という重力に抗う筋肉が必要であり、姿勢を意識するだけで筋肉の活性化に繋がります。また、良い姿勢をとるだけでホルモンバランスを保ち、自律神経の乱れを防ぐということも知られています。

そして何より、美しい姿勢を身につけることで「見た目老け」を改善することができます。

まずは立った姿勢を整えましょう。最近は巻き肩や骨盤が後傾(こうけい)して背骨が丸まりやすい女性が多いです。手のひらが体の横につくように胸を開き、背筋を伸ばした姿勢を意識しましょう。綺麗な立ち方が身につくと、座った時の姿勢も自然と変化していきます。

運動をして、老けない身体を目指そう!

アンチエイジングには運動が必要です。食事や睡眠など、普段行っていることを変えるという方法に比べて、普段の生活にプラスをすることなので少しハードルが高いと思う方もいると思います。

まずは通勤では姿勢を良くして歩く、テレビのCMの時間毎に1つ筋トレメニューをこなす、など日常にプラスするところから始めてみてください。最近ではインスタグラムやYouTubeでもトレーニングを一緒に楽しめるコンテンツも多くなりました。好きなタレントやお気に入りの講師を見つけて楽しみながら行うのも一つの方法です。

大切なのは継続することです。週に2~3回でも運動を取り入れれば、数年後の自分に返ってきます。

参考文献

WHO guidelines on physical activity and sedentary behavior: at a glance.] Geneva: World Health Organization; 2020

日本抗加齢医学会

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