腸内環境を意識した生活をしていますか?近年の健康意識の高まりから 「腸活」という言葉について、最近では耳にする機会が増えました。腸内環境を意識して過ごすことで、便秘や冷えなどの悩みを改善することが出来ます。
この記事では、腸内フローラを整える食べ物や腸内フローラの検査方法などについて解説します。
著者情報
中田早苗
薬剤師/腸活・ファスティング講師
薬科大学卒業後、約7年間総合病院で病院薬剤師として勤務。その後、相談薬局にて予防医学の観点から薬を使わない健康法について患者指導を行い現在に至る。食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとしてファスティングの魅力に感銘を受ける。便秘やアトピー、自律神経の乱れなどの悩みとファスティングに深く結びつきがあることを実感。現在までに100名以上のファスティングサポートを実施。
腸内フローラとは?腸内フローラを整えるメリットも紹介
腸内フローラとは、腸内細菌がバランスよく存在している様子を意味しています。
腸内には約1,000種100兆個という数の細菌が生息していると言われています。顕微鏡で確認すると、それらがまるでお花畑のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。
腸内フローラを整えることで、腸内環境が良くなり腸の働きがスムーズになります。便秘や下痢などの症状改善だけではなく、他にも様々なメリットがあります。
美肌効果
“肌は腸の状態をうつす鏡”とも言われるほど、腸の健康は肌に影響します。
腸内フローラが乱れ、便秘やガスが溜まった状態が続くと、腸内の腐敗物質が全身を巡り肌トラブルを起こします。日常的にニキビや吹き出物などの肌トラブルが多い人は、慢性的な腸の汚れが原因の可能性があります。
自律神経を整えストレス軽減
幸せホルモンの代表である“セロトニン”は、脳が緊張やストレスを感じると分泌され自律神経のバランスを整えようとします。気分を安定させ、睡眠にも関わるため、心身ともに健やかに過ごすためにセロトニンは重要な役割を担っています。
もし、セロトニンが不足してしまうと、やる気がなくなり、心が不安定になる、身体がだるいなどの症状が現れやすくなります。朝の寝起きがスッキリせず目覚めが悪い場合は、セロトニン不足が考えられます。
セロトニンは、意外にも約80%が脳ではなく「腸」で作られていることが分かっています。そのため、腸内環境を整えることはセロトニン分泌を促進することにも繋がります。
ダイエット効果
腸内環境が悪い場合、腸が冷え代謝が低下し、ダイエットの妨げになります。
定期的に便が排泄され、腸がしっかり動いている状態だと、食べ物の消化吸収が促進され、健康的な体を目指すことができます。腸内フローラを整えることで、自然と痩せやすい体に導くことができます。
免疫力アップ
免疫に関わる細胞の約70%は腸に存在しています。
腸は、口から食べた食べ物を消化・吸収する場所ですが、食べた物と一緒にウイルスや病原菌などが侵入してくるリスクが高い場所でもあります。腸の壁の内側には、多くの免疫細胞が集中しています。そのため、腸の状態を良くすることは、免疫力の維持・向上には非常に有効です。
長引く風邪や口内炎、その他の症状で悩んでいる人は、腸内フローラを整えることで、病気になりにくい体質作りが期待できます。
腸内環境を整える食べ物
健康のためには、腸内に様々な細菌が棲みついていることが重要ですが、その上で腸内環境を良くするためには善玉菌が優位な環境にあることが大切です。
そのためには、善玉菌を含む食品を摂ることと、善玉菌のエサになる食品を摂ることがポイントになります。
善玉菌を含む食品を摂る
善玉菌には、乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌などがあります。これらは、発酵食品に多く含まれ、身近でも手軽に取り入れることができます。
【おすすめ食品】
・植物性:納豆、味噌汁、漬物など
・動物性:ヨーグルト、チーズなど
善玉菌のエサになる食べ物を摂る
食物繊維やオリゴ糖などは善玉菌のエサになるので、これらを積極的に摂取することで、腸内環境を良くすることに繋がります。
【おすすめ食品】
・食物繊維が豊富:海藻類、オクラ、キノコ類など
・オリゴ糖:大豆、玉ねぎ、バナナなど
その他
食事でなかなか摂取できない場合は、乳酸菌や食物繊維、オリゴ糖などをサプリメントで補う方法も有効です。そして、水分摂取も、スムーズな便通を促すので、1日1〜2L程度の水(または白湯)を摂ることもおすすめします。
腸内フローラの状態をセルフチェック
自分自身の腸内環境が、どんな状態なのかを調べる方法について説明します。
自分の腸の状態を知ることができれば、食事や生活習慣の改善に繋げることができます。トイレで簡単にセルフチェックできますので参考にしてみてください。今朝、あなたの便の色や形はどうでしたか?
毎朝トイレへ入って、スムーズに排泄できる人ばかりではないと思います。便は単なる排泄物ではありません。想像以上に自分自身の健康状態を教えてくれる情報源でもあります。毎朝の健康チェックとして、トイレを流す前に便の状態を確認してみてください。それぞれの便の状態とその特徴について紹介します。
理想の便 バナナ状
最も理想的な便です。バナナの色と形をした便が2本程度出て、水に浮かぶ状態がベストです。このタイプの便は、直腸からするりと出ます。健康状態が良く、食べたものの消化、吸収、排泄の仕組みが乱れることなく順調だったことを証明している便だと言えます。
コロコロしている
ウサギの糞のように、小さくコロコロとした便が出る方は、腸が緊張し不安定な状態であることが考えられます。ストレスが原因の過敏性腸症候群の疑いがあります。
【対処方法】
食物繊維を多めに摂り、便秘解消を心がけましょう。水分も摂るようにしましょう。カフェインを含む飲み物は利尿作用があるため、水分不足になり便が硬くなります。オリーブオイルや亜麻仁油などの良質の油は、便を柔らかくスムーズにします。ドレッシングなどで摂取しましょう。
太くて硬い
便秘傾向の人に多い便です。便が腸内に留まる時間が長いため、便の水分が吸収されてしまい硬くなってしまいます。
【対処方法】
普段から水(または白湯)を多めに摂取することや適度な運動を心がけましょう。食物繊維や乳酸菌を摂るとなお良いです。コーヒーなどカフェインを含む利尿作用のある飲み物は控えましょう。
細くてやわらかい
水分の摂りすぎや、脂質の多い食品を摂ることで消化不良を引き起こしてしまい、細い便が出ることがあります。
【対処方法】
脂身の多い肉、お菓子、揚げ物など脂質の多い食べ物は控えましょう。普段太くて急に細い便になった場合で、身体に異常がある場合は医療機関を受診してください。
形をとどめていない
下痢や水様便は、消化吸収が不十分な状態です。1日のうち何度も繰り返し下痢が続くようであれば、腸炎や食中毒の可能性が考えられます。
【対処方法】
暴飲暴食は控えましょう。コーヒーなどカフェインを含む飲み物やアルコール、冷たい飲み物を飲むのは控えましょう。脱水になりやすいため、こまめに水分補給をしましょう。下痢が数日間続く場合は専門の医療機関の受診をおすすめします。
腸内フローラ検査
最近では、以下の方法で腸内フローラの状態を調べることが出来るようになりました。
自宅で気軽にできる検査キット
自宅で採便して郵送することで、手軽に調べることができます。これにより自分自身の腸内菌のバランスを知ることができます。
結果をもとに管理栄養士などの有資格者から、生活習慣や食生活に関するコメントやアドバイスを受けられるサービスもあります。腸の不調で悩んでいる方はもちろん、現在、不調を感じていなくても、腸内環境の見直しをすることで、より健康的な生活を送ることをサポートしてくれます。
医療機関で行う検査
病院やクリニックなどでも腸内フローラの検査を受けることができます。腸内の菌バランスはもちろん、検査キットとの大きな違いは、検査キットよりも精度が高い点です。より詳しいデータが得られ、大腸がんのリスクなど、病気についての情報も知ることができます。体の不調や悩みがある場合、直接医師に相談できるのもメリットだと言えます。
どちらも価格は2〜3万円程度なので、今の自分の腸内環境を知り、生活習慣の見直しのためにも、一度検査をしてみるのも良いでしょう。
腸を制する者は美と健康を制す!
腸内環境を意識し、腸内フローラを整えることは、単に便秘を解消するだけではなく、美容効果や自律神経調整、免疫力アップなど様々なメリットがあります。日頃から、疲れやすかったり、眠りが浅い、ストレスを溜めやすいなどの悩みがある方こそ、“腸”を意識した食事や生活を取り入れてみてください。
腸内フローラを整えることは、毎日を健やかに過ごす手助けとなります。あなた自身の腸内フローラを整えて、美しく健やかに過ごせるよう、生活習慣を見直すきっかけにしてみてください。