35歳を超えた頃から気になり始め、40代から一気に増えるお悩みが「白髪」です。
昔と比べて髪質や毛量、悩みも変わってきたのに今までと同じヘアケアのままで良いのでしょうか?
白髪と上手に付き合っていくため、簡単にできるケア方法をお伝えします。
著者情報
野田まりえ
毛髪診断士
体質に合わせて美肌・美髪を育む専門家。
闘病・脱毛をきっかけに『病気になりにくい身体作り』を志し、食や毛髪に関する様々な資格を取得。漢方メーカーに勤務し、手軽に取り入れられる薬膳などの広報活動を行う。
現在はフリーランスとしてコラム執筆、SNSを通して美髪が叶う『髪育ごはん 』、体質に合わせて土台から改善していく 『バランス美養』などの情報を発信中。
一度なった白髪を黒髪に戻すことはできる?
加齢による白髪は、老化現象の一つのため、残念ながら全てを黒に戻すことはできません。ただし、ストレスによる血流の滞り、病気による免疫力の低下、生活習慣の乱れなどが原因でできた白髪の場合は、改善できるケースもあります。
白髪になる原因は?
そもそも白髪は、黒髪のもとである「黒」を製造するメラノサイト(色素形成細胞)が加齢によって減少したり、メラノサイトで作られたメラニン色素がうまく髪に取り入れられなかったり、何らかの原因でこのサイクルが乱れてしまうなど、「黒」の色を失ってしまうことが原因です。そんな白髪ができる要因としては、下記のようなものが挙げられます。
加齢
年齢を重ねると、黒髪を作るメラノサイトの働きが衰えることで白髪になります。老化により色素細胞の機能が低下し、メラニン色素が作られなくなってしまうため、40代以降の加齢に伴う白髪を黒髪に戻すことは難しいと考えられています。
遺伝
両親など親戚に白髪が多い家系は、遺伝の影響で白髪になることもあります。
2016年に英国の研究チームによって発見されたIRF4遺伝子は、髪を白くする作用があると考えられ、遺伝することで白髪を発生させると言われています。遺伝子が解明されたからと言って白髪を撲滅できるわけではありませんが、将来的には白髪予防や遅らせることが可能になるかもしれません。
栄養不足(偏食)
黒髪を作り出すメラニン色素の原料となる栄養素は、日々の食事から摂り入れるものです。バランスの悪い食事や無理なダイエットなど、栄養素が不足してしまうと白髪を加速させることにもつながります。
ストレス
昔から「ストレス」と「髪」は密接な関係があると考えられてきましたが、2020年に米国の研究チームが「急性ストレスよって交感神経系が過剰に活性化すると”白髪”を促進させる」など、ストレスと白髪の研究結果を発表して大きな話題となりました。
病気
DNAを正常に作れなくなる悪性貧血や甲状腺機能低下症など、まれに基礎疾患などが原因となり、白髪を引き起こしていることもあります。その場合は専門医に診て貰い、病気そのものの治療を行うことが大切です。
毛髪診断士が伝えたい!手軽にできる白髪の予防・改善法
白髪が増えてきたらどのようにアプローチすれば良い?日常生活で手軽にできる白髪の予防・改善法をご紹介します。
生活習慣の見直し
髪の成長や頭皮の新陳代謝・修復には、成長ホルモンが深く関わっています。この成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるため、夜更かしを避け、なるべく睡眠時間を確保するよう心がけましょう。
また、運動不足によって血流が悪くなると頭皮まで栄養が届きにくく、白髪を加速させる要因になります。散歩や階段を使うなど、日常生活で無理ない範囲で運動を取り入れてみましょう。
食事の改善
白髪を予防するためには、まずはバランスよく栄養を摂ることが大切です。中でも、黒髪を作り出すメラニン色素の材料となるアミノ酸の一種「チロシン」は、乳製品、大豆、バナナ、りんご、アボカド、カツオ、マグロ、アーモンドなどに多く含まれています。特にナッツ類には良質な油も含まれているため、髪の潤い補給にもおすすめです。小腹が空いた時のおやつとしていかがでしょうか。
こまめなストレス発散
ストレスは溜め込まず、こまめに発散することを心がけましょう。ヨガや瞑想など、ゆっくりとした動きはリラックス効果を高める働きがあります。
感情脳にダイレクトに働きかけるのが嗅覚と言われ、香りの力を取り入れるのもおすすめです。一般的にイライラには鎮静作用のある「イランイラン」、緊張を沈めたい時や就寝前にはリラックス・安眠効果の高い「フランキンセンス」、集中力を高めたい時は「ペパーミント」など、普段の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
頭皮マッサージ
ストレスや疲れによって頭皮が凝り固まってしまうと、血行不良を起こすことがあります。特に側頭部はストレスと関係の深いパーツです。
難しく考えずに、指の腹を使って頭皮を優しくもみ、頭皮の血流を良くしましょう。トイレやリモートワークの合間など、ちょっとした隙間時間にするのもおすすめです。
白髪は抜かない
白髪を見つけると抜いてなかったことにしたい…そう考える気持ちもわかりますが、抜くのはNGな対策法です。
髪は一つの毛穴から2〜3本生えているため、白髪を抜いてしまうと、他のまだ黒い髪にも影響を与えかねません。また、白髪を抜くと頭皮に炎症が起こり、黒を作る色素細胞を含む組織にダメージが及ぶ可能性もあります。眉毛を抜き過ぎると生えてこなくなるように、長期間にあまりにも強い刺激を与えると、髪が生えてこなくなることもあるので抜くのはご法度です。どうしても気になる方は、抜くのではなく”短くカット”をおすすめします。
毛髪診断士が教える!白髪におススメのヘアケア商品
前述したように加齢による白髪を昔のような黒髪に戻すことは、限りなく難しいのが現状です。今回は、普段のケアで白髪になるスピードを遅らせたり、白髪染めによるヘアダメージから髪を守る方法をご紹介します。
炭酸シャンプー
白髪ケアには、頭皮の血流改善も大切になります。どんなに髪のケアをしても、髪の土台である頭皮の血流が滞っていては栄養が届きにくい状態です。頭皮が硬く、ストレスを溜め込む癖がある方は、マッサージに加えて定期的に炭酸シャンプーを活用してみてはいかがでしょうか。
炭酸シャンプーに含まれる炭酸ガス(二酸化炭素)には、血管を拡張させ血行を促進する作用があります。頭皮の血行が良くなると、新陳代謝が高まり髪と頭皮をすこやかに保つことができるので、週に1度を目安に取り入れてみましょう。ただし、やり過ぎると頭皮の乾燥を加速させてしまうので気をつけてください。
●ソーダスパフォーム プレミアム 10,000
カラートリートメント
白髪染めをしている方に多いのが、髪の乾燥やごわつきの悩みです。頻繁に染めてしまうとヘアダメージが加速してしまうので、美容院ではリタッチ(生え際の白髪部分だけ染め直す)をするようにしましょう。
美容院へ通う頻度を少なくする意味においては、へアカラートリートメントを使用してみてはいかがでしょうか。色持ちは1週間〜10日ほどですが、髪への負担を減らすことができ、お財布にも優しいです。
●kulo ヘアカラートリートメント
白髪が改善した事例を紹介
白髪が改善した事例をご紹介します。
白髪にお悩みの27歳女性
【悩み】就職をして夜勤勤務が増えたことをきっかけに白髪が急に増え出した。
【対策】夜勤のシフトを減らし、バランスの良い食事を心がける。約1年後、前頭部の白髪の減少を実感して、白髪染めの頻度も減り精神的にも安定してきた。
白髪にお悩みの32歳女性
【悩み】結婚式に向けて過度な食事制限によるダイエットを実施。体重は減ったものの、今までなかった白髪、肌や頭皮の乾燥が気になるようになった。
【対策】バランスの良い食生活を取り入れ、不足している栄養素などもサプリで摂取する。白髪になってしまった毛髪が改善することはなかったものの、以前のように白髪が急激に増えることはなくなり、不安による不眠も改善して精神状態も安定してきた。
白髪にお悩みの35歳女性
【悩み】仕事のストレスから、不眠症とうつ病を発症する。休職、復職を繰り返している中で白髪が急に増え出した。
【対策】まずは睡眠の質を高めるために、夜のスマホ時間を減らし、間接照明などで交感神経を沈める生活を取り入れる。ストレスの原因となっていた部署から異動して、残業時間を減らすなどワークバランスの見直しをする。約1年半後、不眠症に伴う睡眠薬の量も減り、若白髪と呼ばれる白髪の出現は減少したように実感した。
白髪の正しい知識を知って予防・改善法を実践しよう
白髪ができるメカニズムや原因、予防や改善法などを具体的にご紹介しました。病気が原因で白髪になっているなら、まずは病気を治療することが先決です。また、ストレスや無理なダイエットが原因の場合、普段の生活を見直すことで改善することもあります。できるだけストレスは溜め込まず、白髪を減らすためにおすすめの食材や栄養素をご紹介したので、毎日のメニューに加えてみてください。
白髪は加齢のせいと諦めずに、この機会にできることから実践して改善しましょう。
参考文献
https://hscrb.harvard.edu/news/solving-a-biological-puzzle-how-stress-causes-gray-hair/