あなたは、今までにいくつダイエットを試したことがありますか。カロリー制限や糖質制限といった“食事を我慢する方法”や、ダイエットサプリや痩身エステに通うといった“商品やサービスを買う方法”など、数え切れない程のダイエット法が世の中には存在します。
今回は、「腸活」を取り入れて健康的に痩せる方法についてお伝えします。
腸活といえば、“腸内細菌をバランスよく整えること”という、健康に良いイメージは持っていても、具体的にどのように腸活に取り組めばいいかについては意外と知られていない部分が多くあります。
腸活がどのようにダイエットに結びつくのか、そして腸活ダイエットを成功させるために重要な過ごし方について紹介します。
著者情報
中田早苗
薬剤師/腸活・ファスティング講師
薬科大学卒業後、約7年間総合病院で病院薬剤師として勤務。その後、相談薬局にて予防医学の観点から薬を使わない健康法について患者指導を行い現在に至る。食事と生活習慣の見直しから得られる健康に興味を持ち、そのひとつとしてファスティングの魅力に感銘を受ける。便秘やアトピー、自律神経の乱れなどの悩みとファスティングに深く結びつきがあることを実感。現在までに100名以上のファスティングサポートを実施。
腸活で痩せたい人は3つのポイントを押さえるべし!
腸活ダイエットを成功させたいなら、以下に挙げる3つのポイントが重要です。
ポイント① 善玉菌を増やすための食事
腸活を始めようと思い、真っ先に善玉菌を増やす取り組みをする人は多いのではないでしょうか。テレビCM等の影響もあり、乳酸菌サプリやヨーグルトなどを摂取することが腸内環境を整えることにつながることは有名です。
善玉菌を摂ることはもちろん大切ですが、それ以外にも善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を摂る事も大切です。
毎日ヨーグルトを食べているのに腸内環境が良くならない場合、カロリーの摂りすぎや逆に腸を冷やしてしまっている可能性があるので注意が必要です。
腸内環境を整える食事を意識することで、便秘や腸のむくみが改善され、ダイエットにつながります。善玉菌を増やす食事を摂るために、まずは腸内の細菌について解説します。
3種類の腸内細菌について
腸内細菌は大きく分けて3種類あります。
【善玉菌】
乳酸菌やビフィズス菌などが代表的な善玉菌です。消化吸収やビタミンの合成を助け、健康維持や老化防止に役立ちます。
【悪玉菌】
悪玉菌が増加すると腸内に老廃物が溜まり便秘や下痢の症状が現れます。発がん性物質を発生させ病気の引き金になります。
【日和見菌】
健康な時は無害で、善玉菌か悪玉菌の優位な方に味方して働きます。
これらの3つの菌の中で、善玉菌と日和見菌はいわゆる「痩せ菌」と言われます。肥満の原因になる「デブ菌」と呼ばれるものは悪玉菌です。痩せやすい体づくりのためには、痩せ菌を増やすことが大切です。
ポイント② 腸を冷やさないこと
二つ目は腸を冷やさないことです。もともと冷え性体質の場合、血管や内臓をコントロールする自律神経の働きが乱れることで、腸の働きも低下してしまいます。腸が冷えることで様々な体の不調を招きます。
例えば、冷えにより腸管の運動が鈍くなると、消化・吸収・排泄がうまく行われず、便秘や腹部の張りが現れます。そして腸が働かないことで、不要な毒素や老廃物が排出されにくくなり、肥満や肌荒れに繋がります。腸(内臓)を冷やさない生活習慣が大切です。
ポイント③ 食べすぎないこと
食べ過ぎが腸を汚している場合があります。これは単に、大食い選手のようにカロリー無制限に食べるという意味ではありません。食べる量も影響しますが、食べ物の種類によって腸が汚れやすいものと、そうでないものがあります。
例えば、糖質制限ダイエットでは、肉や卵などの糖質が低い食材を積極的に摂りますが、これは腸にとって大きな負担になります。特に動物性タンパク質は消化に大量のエネルギーを要します。
腸活という視点から考えると、タンパク質は悪玉菌が増え、体臭やオナラが臭くなる原因になります。悪玉菌が増えるとガスを排出するための腸のぜん動運動が悪くなり、便秘になりやすくなります。健康を意識しているつもりが、逆効果となり知らないうちに腸は疲れきっているかもしれません。
また、普段からお腹いっぱいに食べる習慣がある人も要注意です。1日3食は食べ過ぎという説もありますが、私たちの内臓は、食べ物が運ばれてくるたびに消化しようと休みなく働き続けます。必ずしも1日3食ではなく空腹を感じたタイミングで食事を摂ることもおすすめです。
腸活がダイエットに効果的なワケ
腸活を意識した生活を行うことでダイエットができる理由について解説します。
代謝アップ
腸の状態は体の代謝に影響します。腸の状態が良いと食べ物の消化吸収が促進され、腸内の善玉菌はビタミンを産生する働きがあります。
私たちの体は、代謝によって糖や脂肪をエネルギーへと変換して利用しているため、代謝機能が低下すると便秘が生じて水分を溜め込みやすい体になり、痩せにくい体質になります。腸内をきれいに保ち代謝を活発にすることがダイエットのポイントです。
美肌効果
せっかく体重が落ちても、ニキビや肌トラブルが多いと健康的に痩せたとは言えません。“肌の状態は腸の状態を映す鏡”とも言われ、腸の健康は美肌にとって欠かせません。
腸内環境が乱れ便秘状態が続くと、腸内の腐敗物質が全身を巡り肌トラブルに直結します。ニキビや吹出物ができやすい人は腸の汚れが原因の可能性があります。腸をきれいにすることは便秘解消の他に美肌効果も期待できます。
食事制限のような辛いダイエットを行わずとも、健康的に痩せることができ、女性らしい美しさも手に入れることができます。
免疫力アップ
腸には免疫細胞の約70%が集中していると言われ、小腸までたどり着いたウイルスや病原菌などの外敵から体を守る働きがあります。腸内環境を整えることで免疫力の低下を防ぐことができます。健康的な体を維持するためにも、ダイエットを成功させるためにも免疫力は大切です。
腸活ダイエットおすすめの過ごし方
腸活ダイエットで私がお勧めする具体的な過ごし方について紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
生活編
下記の過ごし方を全て取り入れることは、簡単そうで難しい場合があります。まずは1つのことから習慣として始めてみてください。習慣化してしまえば太りにくい体質へ近づきます。
【おすすめの過ごし方】
・朝起きてコップ1杯の白湯を飲む
・腹部を外から温める(カイロや腹巻き)
・39℃前後のぬるめの湯船に浸かる
食事編
私たちの体は、食べた物によって作られます。腸が喜ぶ食品を意識して摂ることで、個人差はありますが、1週間もあれば効果を実感できるようになります。
【おすすめの食品】
・食物繊維の多い野菜(きのこ、海藻類など)
・発酵食品(味噌汁、納豆、キムチなど)
・オリゴ糖を含む食品(バナナや大豆など)
その他
もし、「○○だけダイエット」、「○○制限ダイエット」をしていて効果が感じられない場合は、一度、腸が喜ぶ生活を試してみることをおすすめします。ダイエットはその方法との相性がとても重要で、成果が出ずストレスや悩みとなっている場合、一度リセットして腸活ダイエットに取り組んでみてください。
食べ過ぎが気になる人は、少しの期間固形物を摂取しないファスティングを取り入れるのも良いでしょう。期間にもよりますが、腸がきれいになるだけではなく、少食効果や脂肪燃焼効果も期待できます。ただし、初めての人は専門家の指導のもと行なってください。
腸活で痩せた2名の事例を紹介
ここで実際に腸活に取り組んで痩せた人の事例を紹介します。
女性Fさん 49歳
身長:140cm
体重:60kg
悩み:つい食べすぎてしまいダイエットに失敗
3日間ファスティングを提案し、腸の中の大掃除をしました。日頃から食べすぎてしまう習慣をリセットするためにも、固形物を摂らないファスティングが効果的でした。その他の期間は、発酵食品や野菜中心の腸に優しい食事を心がけることで、体重が2週間で4kg減少、ウエスト周りが引き締まりました。
男性Tさん 35歳
身長:168cm
体重:72kg
悩み:お腹が出てきた事と大人ニキビ
食生活が肉類中心で、腸内は悪玉菌が優位な環境であることが考えられました。まずは野菜と魚中心の食生活を意識して頂きました。加えて、便秘気味であることから、多めの水分と乳酸菌サプリを摂取しました。腸内環境は改善傾向となり1週間で体重3kg減少しました。
腸活は難しくない!誰でも簡単にできる!
今回、健康的に美しく痩せる方法として腸活を紹介しました。腸活は、食べることを我慢することや、体重を減らすだけが目的の単なるダイエットではありません。腸活は“腸内環境を整える生活”を行うことで自然と健康的な体になっていくものです。
多くの女性は、30代を過ぎたあたりから、代謝が悪くなり痩せにくい体になり、肌の変化を感じ始めます。だからこそ、健康を意識して無理なく行える腸活をおすすめします。腸活は、1週間程度続ければ体調が良くなったことが実感できます。お通じの状態や朝の目覚めの変化を感じてみてください。
腸活は、一過性のものではなく長い目で改善していくように継続することが大切です。短期間でやめて元の生活に戻してしまうと、腸内環境も元に戻ってしまいます。
腸内環境は、あなた自身の生活習慣が反映されます。特別な努力は必要なく、できることから始めてみてください。大袈裟かもしれませんが、腸が変われば体が変わり、体が変わると人生が変わります。長く続けられる魔法の健康法としてぜひ腸活を試してみてください。