現代のお肌の曲がり角と言われる35歳前後は、肌にさまざまな老化減少が見え始める年になります。
アラフォー世代は肌が乾燥しやすく、小じわやシミなどの今までになかった肌トラブルが出現してくる頃です。
肌の老化の原因はいくつもありますが、大きな原因として「糖化」が挙げられます。糖化対策をする事で老化を予防する事が可能です。
この記事では、糖化対策のための生活習慣やスキンケアで、美肌に導く方法について詳しく解説していきます。
著者情報
湯浅 みちこ
美容ライター
エステティシャンとして現場で8年勤務後、スタッフ教育などサロン運営を経験。
コスメコンシェルジュ、化粧品検定1級、コスメ薬事法管理者の資格を取得し、美容ライターおよび薬事法ライターとして活動している。思春期ケアから更年期の肌悩みまで幅広く対応している。
肌の老化は糖化が原因だった!肌の糖化とは?
肌の老化の原因として最近話題になっているのが「糖化」です。糖化とは体の中の余分な糖とタンパク質が結合することで起こる「体の焦げ」のことを言います。活性酸素が老化を早める原因になることは有名ですが、実は糖化も老化を早める大きな原因なのです。
- 活性酸素=体のサビ
- 糖化=体の焦げ
体が焦げるとはどういうこと?
例えば、魚の照り焼きと塩焼きの2種類を焼くとします。同じ時間加熱したならどちらが早く焦げるでしょうか。
糖分を表面に塗った照り焼きの方が早く焦げます。
体も同じで、糖分とタンパク質の結合によって体が焦げることで老化が進んでしまうのです。体の糖化とは魚を焼くように目に見えて焦げるわけではなく、体の内部が焦げるので見た目には気付きにくいです。
老化を早めるAGEsとは
AGEsとは、糖化することによって作られる老化物質になります。
体の余分な糖とタンパク質が結びつき、タンパク質が変性、劣化することを言います。
AGEsが体内に多くなると全身を老化させる原因になり、実年齢よりも体内年齢が高くなり老け見えするだけでなく、成人病を引き起こしやすくなります。
シミ、しわ、たるみなど…糖化による肌老化の症状
女性にとって肌の老化は一大事で、30代ですでにシミやシワが現れる人も少なくありません。糖化による肌のトラブルはどのように現れてくるのでしょうか。
シワ、たるみが目立つ
肌は真皮にある「コラーゲン繊維」や「エラスチン繊維」によってハリを保っています。
そのハリを保つ繊維が、糖化により劣化することで弾力を失い、シワやたるみにつながっていきます。
シミが増える
「シミができるのは紫外線の影響」と思っている人は多いですが、紫外線以外にも体が糖化することでシミが増加しやすくなります。
肌の生まれ変わりをターンオーバーと言い、古い角質が剥がれ落ちることで色素沈着を防いでいます。しかし糖化することで肌の新陳代謝が悪くなり、古い角質が溜まることでシミになりやすくなるのです。
肌がくすむ
糖化の肌トラブルで一番多く見られるのが、肌がくすむことです。
糖化によりコラーゲンが変性し、肌の赤みが少なくなり黄色くくすんだ色になってきます。いわゆる透明感がなく、よどんだ印象を与える顔色になります。
一度なった糖化は回復できるのか?
一度なってしまった糖化、増えてしまったAGEsは、残念ながら元に戻すことはできません。
しかし食生活や生活習慣を改善することで、予防することは可能です。もちろん早ければ早いほど若々しくいられるので、アラフォー世代からは特に意識していただきたいです。
糖化予防にはどのような対策をすればいいのか見ていきましょう。
糖化対策の食生活
糖化とは余分な糖がタンパク質と結びついて起こるため、食生活の見直しは欠かせません。食事でつい摂りすぎてしまう糖質も、食材や食べる順番を気をつけることで糖化を防ぐことができます。
気を付けたい大切なポイントを以下にまとめました。
低GI食品を取り入れる
低GI食品とは「血糖値がゆるやかに上昇する食品」のことで、血糖値が上がりにくい食品を指します。
血糖値が上がりやすい食べ物は、上昇と下降のアップダウンが激しいのでお腹がすくのも早いです。それに比べて低GIの食べ物はアップダウンがゆるやかなので、空腹を感じにくいためダイエットにもおすすめです。
下記の低GI(55以下)の食品が取り入れたいものになります。
【食品GI分類表】
食品 | 低GI(55以下) | 中GI(56~69) | 高GI(70以上) |
---|---|---|---|
穀類 | そば スパゲッティ 押し麦 オートミール春雨 | 玄米 コーンフレーク | 白米 パン 餅 煎餅 粥 赤飯 バターライス |
果物 | りんご イチゴ メロン グレープフルーツみかん | パイナップル 柿 ぶどう | 果物ジャム 缶詰 |
野菜 | 葉物野菜 ブロッコリー ピーマン きのこ類 | さつまいも | じゃがいも 里いも長いも 人参 |
乳製品 | 牛乳 チーズ ヨーグルト バター | アイスクリーム | 練乳 |
参考資料:山梨県厚生連
ご飯類なら白米から玄米やオートミールに置き換える、果物は缶詰やジャムは避け、りんごやみかんにするなど工夫してみましょう。
私は1日1食をオートミールに置き換え、1食は穀類抜きにし、もう1食は雑穀米にしています。実際に朝食にオートミールを食べた日とパンを食べた日では、お昼の空腹具合が全く変わってきます。
オートミールは低GI食品のため、時間が経っても飢餓感が出にくいのです。
置き換え方式でもいいですし、ポテトサラダやイモ類を食べる時は白米は抜くなど、日頃から糖質過多にならないように気をつけることが大切です。
食生活はずっと続けていくことが必要なので、ストレスを溜めずにできるところから始めていくといいでしょう。
食べる順番を意識
糖化しにくい食事の摂り方として、食べる順番を意識することも必要です。
糖化ケアになる食べ方として、低GIの食材から食べることをおすすめします。低GIの食品から食べることで、血糖値の上昇を抑えることができるからです。
以下の順番で食べるのがおすすめです
- 野菜(なるべく生が好ましい)
- 味噌汁やスープ
- タンパク質(肉、魚、卵、豆類など)
- 白米やパンなどの主食
順番を変えるだけでも、糖化しにくいのでぜひ実践してみてください。
またゆっくり食べることで、満腹感を感じるので最後の主食はなしでもよくなることもあります。
これらは「食べる順番ダイエット」とも言われており、習慣付けることで糖化を予防できます。
糖化対策の生活習慣
食事の見直しと同時に生活習慣にも目を向けて、糖化を予防していきたいものです。
筋トレを行なう
筋肉量が多いと、ブドウ糖を消費しやすいため糖化しにくい身体であると言えます。
しかし何も運動をしないと、年齢と共に筋肉量は低下します。特に30代は結婚、出産をされる方も多く、子育て世代のため運動不足になりがちです。
特に食べる量が増えていないのに、太ってきたという人は要注意です。
おすすめは筋トレで体の筋肉を鍛える運動をすることです。カロリー消費は少ないですが、自宅で短時間で行えるため忙しいアラフォー世代でも続けやすいです。
私も1日10〜20分程度の軽い筋トレを行ないながら、筋力の低下と糖化の予防を心がけています。肩こりや腰痛も楽になりました。
6時間以上睡眠をとる
睡眠不足が重なると、疲れが取れないだけでなく気力や集中力が低下する方が多いと思います。
睡眠時に分泌される「メラトニン」は睡眠不足になると減少するため、食後の血糖値が上昇しやすくなってしまいます。
血糖値が上昇することで糖化を招くため、1日6時間以上の睡眠をとることをおすすめします。
肌の糖化を防ぐスキンケア
ここまではインナーケアについてお伝えしてきましたが、糖化を予防するスキンケアはどのような点に気をつけていけばいいでしょうか。
UVケアを徹底する
紫外線を浴びると糖化を加速させます。UVケアを怠ると、糖化+紫外線によるタメージでシミやシワなどのトラブルがてき面に出やすくなるので注意が必要です。
顔はUVケアをしっかりされている方が多いですが、頭皮が無防備だと紫外線を浴びることになるので帽子や日傘でカバーしましょう。
特に3〜10月頃までは、紫外線量が高くなるため糖化しやすい季節とも言えます。
春〜秋は特に肌が出ている部分にはUVクリームを塗る、もしくは衣服でカバーするように気をつけていきましょう。
肌の糖化を防ぐ成分
スキンケアでも肌の糖化を防ぐことができます。
普段のお手入れで取り入れられる、抗糖化に期待できる成分を以下にまとめました。
- ナイアシンアミド
- レチノール
- ブルーベリーエキス
- オリーブ葉エキス
- ヨモギエキス
ナイアシンアミドは多くのメーカーの化粧品に配合されているので、一番入手しやすいと思います。化粧品を購入する時にパッケージやホームページに「全成分」が記載されているので、チェックしてみてください。
糖化を予防・改善して若々しい肌を目指そう!
美肌を保つために糖化予防は欠かせないインナーケア。糖化予防に一番大切なのは食事で、平行して気を付けたいのが運動、睡眠、スキンケアです。
- 低GI食品を取り入れる
- 食べる順番に気を付ける
- 筋力維持の運動をする
- 良質な睡眠をとる
- UVケアをする
この5項目が糖化を予防し、若々しい肌に導くカギとなります。身体の中をきれいにすると肌も整い、透明感のある肌に近づけます。また食生活を改善することで太りにくい、健康な体作りにも役立つのです。
AGEsを体内に蓄積させないためには、短期でなく長期間ずっと続けていく必要があります。自分のできるところからチャレンジし、内側から輝ける美を手に入れましょう。
参考文献
肌トラブル大全(P134糖化ケア、P138抗糖化な食事)/小林智子 WABE出版