30〜40代の女性の半数以上は冷えや疲れに悩んでいるようです。(トレンダーズ株式会社の「健康意識に関する実態調査」より)
アラフォー世代は、子育てと仕事の両立で忙しく、ストレスや不調を抱えながらも自分の身体と向き合う時間が難しい時期であり、何も対策せず更に年齢を重ねると、重い更年期障害に悩まされるなんてことも考えられます。
「冷えは万病の元」とよく言いますが、冷えない身体を維持する事は、妊娠、出産、産後、更年期など、女性のライフステージの変化にも「しなやかに豊かに暮していくこと」に繋がります。
この記事では、冷えタイプ別診断も交えながら、冷え対策と普段の暮らしに取り入れやすい「温活」をご紹介します。
著者情報
有賀久美
温活士/腸育コンシェルジュ
「温活」をテーマにイベント企画・運営など活動するウーマン・ラボの代表を務める。女性が自分の身体と向き合うきっかけを提供し、女性の輝く社会を応援したいと活動している。
また、生姜のオリジナル商品「生姜のコンフィチュール(生姜とレモンのジャム)」の企画販売も行っている。
あなたはどのタイプ?4つのタイプ別冷え診断
「冷え」と一言で言っても、人によって冷える場所は様々です。冷える場所によって、4つに分類し、それぞれの傾向を紹介します。
四肢末端冷えタイプ
体温はそれほど低くないのに、手足やその先が冷えやすい人はこのタイプです。
特に若い女性の中でも、やせ気味や過度なダイエットを行っている女性に多いです。
普段あまり汗をかかない、肩こりや頭痛を感じやすい、運動などで体を温めたり手袋や靴下で防寒しても温まりにくいという特徴があります。
下半身冷えタイプ
腰から下が冷えやすい下半身タイプは、加齢と共に起こりやすく、男女共に起こりやすい冷え性です。
デスクワークなど長時間座ったままでいる時間が多いと、お尻をはじめとした下半身の筋肉が凝り固まります。その結果、下半身の血の巡りが滞ってしまい、冷えを引き起こしてしまいます。
手は温かいけれど足は冷たい傾向にあります。
内臓冷えタイプ
「隠れ冷え性」とも呼ばれる内臓冷えタイプは、ぽっちゃり体型の方や30代以降の女性に多く見られます。
例えば、手足や身体の表面は温かいけれど、お腹が冷えやすい、全身に汗をよくかく(汗によって冷えやすい)、下腹部や太もも、二の腕が冷えやすい、冷えと同時に便秘や下痢などのお腹の不調を感じやすいなどの特徴があります。
全身冷えタイプ
全身冷えタイプは、一年中体温が低く、季節を問わず冷えを感じていて、自覚症状が乏しいという特徴があります。
慢性的な怠さや、疲れやすい、風邪などの感染症にもかかりやすいので注意が必要です。
原因の一つとして、運動不足や不規則な生活習慣などによる基礎代謝の低下が挙げられます。
ここまで4つのタイプをご紹介しましたが、いくつか該当するという方もいるかもしれません。例えば、四肢末端と下半身の両方が冷えるなどです。その場合は「混合タイプ」になります。
冷えを解消したいなら、まず今の自分の状態(タイプ)を知り、正しい対策をする事が冷えを解消する近道になります。
温活とは?冷え対策で温活美人に
「温活」とは健康を維持するために適正な温度まで基礎体温を上げる活動の事を言います。身体を温めることで体内の血の巡りを良くし、代謝を高めて、基礎体温、平均体温を適正なレベルまで上げることで、健康増進や美容効果を高める事を指します。
※一般社団法人日本温活協会の「温活の定義」より
つまり、冷え対策を意識した食事や、適度な運動、正しい生活習慣やストレスケアを行うことが、血の巡りを良くし、代謝を高めることに繋がり、冷えを予防し温かい身体を維持することになるのです。
アラフォー女性におススメの3つの冷え対策
上記の4つのどのタイプの人も、共通して取り入れていただきたい冷え対策をご紹介します。
ながらで温活マッサージ
ウォーキングのように全身を使った運動は、血流改善や基礎体温アップが期待できます。しかし、忙しいとなかなか運動習慣を始めるのは大変です。そこで忙しい女性におすすめなのが「ながら」で行うマッサージです。
テレビを見ながら、歯を磨きながら、マッサージボールやテニスボール、ゴルフボールなどを使って、足の裏、膝の裏、足の付け根、脇や首回りなどをコロコロとマッサージを行う事で、リンパの流れを促進し、血流もアップ、体温もアップに繋がります。また、老廃物が流れることで、むくみ解消やくすみ肌解消にも繋がります。
全身浴で簡単温活
お風呂の入り方も工夫することで、冷え対策になります。
入浴の作用の一つ「静水圧作用」をご存知でしょうか。
「静水圧作用」とは、身体にかかる水圧のことで、浴槽に首まで浸かった場合、体全体にかかる力はなんと約1トンとも言われています。
お湯に浸かると身体の表面だけではなく、皮膚の下の血管やリンパまで、大きな圧力が加わり、その圧力で血液やリンパの流れを良くしてくれます。つまり、入浴は天然のマッサージ作用があるという事なのです。
ぜひ、浴槽に浸かる時は、首までしっかりと浸かって、合わせて手足のセルフマッサージなども行うとより効果的です。
朝一番の白湯で温活
手軽に始められる温活習慣としておすすめなのが、朝の「白湯」の習慣です。
朝起きてコップ1杯の白湯を飲むことで、身体が内面から目覚め、胃腸の働きを活発にしてくれます。
腸が動き出し温まれば、全身の血行も促進され、冷えにくい身体へと繋がります。また、便秘解消にも効果が期待できます。
4つのタイプ別の冷え対策
冷えタイプ別の冷え対策をご紹介します。
四肢末端冷えタイプには血の巡り力アップが鍵
末端冷えタイプの主な原因は血の巡りの悪さです。まずは、血行促進効果の期待できる食材を積極的に摂るなど、バランスの良い食事から意識しましょう。
また、日々のストレスなどによっても自律神経が乱れ、交感神経が優位な状態になると、血管は収縮し、血流は悪化します。
ストレスを溜めないために、適度な運動や、入浴習慣を心がけましょう。さらに、寝る前のスマホやタブレットの閲覧は、交感神経を高め、血行不良の原因になるので避けましょう。
下半身冷えタイプにはプチトレで血流促進
下半身冷えには、お尻や骨盤周り、関節周りをほぐすマッサージやストレッチがおすすめです。骨盤周りの動きを良くすることで足先の血流改善に繋がります。
普段座り仕事が多い人におすすめなのは、トイレのタイミングに「ながら」で行うプチトレです。トイレの中で軽く屈伸やスクワットを行ったり、かかとの上げ下げを何度か繰り返すことで、ふくらはぎがポンプの役割をしてくれて、血流促進に役立ちます。
内臓冷えタイプには内側と外側両方から対策を
内臓冷えタイプの原因は、主に自律神経の乱れや食生活の乱れです。
まずは、冷たい飲み物や食べ物を控え、生姜など身体を温める食材を摂るように意識をしてみましょう。
腹巻きをしたり、カイロを仙骨(せんこつ)という骨盤の真ん中にある三角形の骨に貼るなど、外側からもきちんと冷えを予防しましょう。
内臓の内側と外側の両方から冷え対策をすることで、胃腸の調子が整い、腸内環境も良くなれば、自律神経も整い、血流改善に繋がります。
全身冷えタイプには、食事から対策
全身冷えタイプの人は、代謝の低下などにより、そもそも自ら「熱」を生み出す力が不足しています。運動不足による筋肉不足や、貧血など、熱を運ぶ血液が不足していることなどが関係しているため、まずは食事をしっかりと摂ることが大事になります。
特に、筋肉の材料となり熱を生むタンパク質や、血液の材料となる鉄分などバランスの取れた食事を意識しましょう。また、血の巡りを良くするために、適度な運動やストレッチを取り入れるのも効果的です。
温活におすすめの食べ物と飲み物の紹介
温活におすすめの食べ物と、取り入れ方のコツをご紹介します。
血行促進効果&サラサラ効果のある食材
おすすめの食材は、「玉ねぎ」です。独特の香り成分アリシン(硫化アリルの一種)には、血液をサラサラにして血行を促進してくれる効果があります。
普段から冷蔵庫に、玉ねぎをスライスしてストックしておけば、サラダはもちろん、色々な料理にプラスできるので手軽に取り入れる事ができます。
アリシンは玉ねぎ以外にも、ネギやニンニクやニラにも含まれています。
アリシンは細胞を壊すことで発生するため、刻んだり潰すなどして食べるとより一層の効果が期待できます。
身体を温める生姜をプラス
生の生姜を食べると感じる辛味は「ジンゲロール」という成分によるものです。ジンゲロールには、末梢血管を拡張させて手足を温める働きが期待できます。
一方、生姜を加熱や乾燥すると「ショウガオール」に変化します。「ショウガオール」は胃腸の働きを良くし、血行を促進して身体の中から温めてくれます。
また、乾燥させてもショウガオールに変化するので、スライスした生姜を100℃のオーブンで約1時間加熱すると簡単にドライジンジャーが出来るので、ストックして様々な料理にそのまま使えば、手軽に生姜を摂ることができます。
マイボトルに紅茶とドライジンジャーを入れた「生姜紅茶」もおすすめです。
鉄分を摂って貧血予防で冷え対策
なんだかだるい、眠い、身体が重いなど、普段から感じている人は貧血かもしれません。鉄分不足による貧血状態が続くと、手足の冷えの原因になります。
そこでおすすめなのが、吸収率が良く、鉄分を摂取しやすい動物性食品に含まれるヘム鉄です。レバー、赤身の肉、シジミ、アサリ、カツオなどに多く含まれます。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、日本人成人女性(18~49歳)が1日の食事から摂取する鉄分の量は、月経のある女性で10.5mgが推奨されています。
生理中など、足りない分はサプリメントなどを活用するのも良いでしょう。
いつものお味噌汁が温活レシピに変身
最近では、毎朝お味噌汁を飲む習慣がないという人も増えてきているかもしれません。しかしながら、朝のお味噌汁こそ、身体を温めるには最高に簡単なおかずになります。
いつものお味噌汁にキノコや野菜などの食物繊維や、豆腐や肉、ソーセージ、卵などのタンパク質を入れたり、具沢山にしてよく噛んで食べれば、気づけばぽかぽかと温かい身体で一日を送るこることが出来ます。
お湯を注ぐだけ冷凍味噌汁の素レシピ
味噌汁の具材だけを合わせて保存容器に入れて冷凍しておけば、お湯を注ぐだけで簡単に具沢山味噌汁ができます。保存容器に入れて1ヶ月冷凍保存可能。(凍りません)
<材料>(300ml/15杯分)
味噌 150g
油揚げ 1枚
かつお節粉 40~50g程度(顆粒だしの場合は大さじ2)
乾燥わかめ 大さじ4
長ネギ 1本
干しシイタケ(スライス)10枚
切干大根 10g程度
乾燥生姜 お好みで適量
<作り方>
1.長ネギを薄い輪切りにしておく。干しシイタケは細かく砕き、切干大根は2cm幅くらいにキッチンばさみで切る。
2.油揚げはキッチンペーパーで油を拭き取って細切りにする。
3.すべての材料をボウルに入れて、良く混ぜたら完成。容器や袋に入れて冷凍庫で保存。
<使い方>
使う時は、スプーンで使いたい分だけすくって取り、お椀に入れてお湯を注ぐだけ。
鍋で野菜などの具材を茹でて味噌汁の素を溶かせば、簡単に具材の量がアップします。
温活で冷え知らずな身体を目指そう!
冷えを予防する「温活」は食事や運動、生活習慣を整える事によって血の巡りを良くしたり、代謝を高め、自律神経のバランスを整え、美容効果や健康効果を高めていきます。
日頃から冷えを予防し温かい身体をキープする事は、女性が今現在抱えている身体の悩みやこれから訪れる体調の変化を少しでも軽くしてくれることに繋がるのです。
ここまで、様々な冷え対策をご紹介してきましたが、朝1杯の白湯を飲むなど、まずは簡単なことから取り入れてみましょう。
もちろん、規則正しい生活リズムや3食しっかり食べるなど、基本的なところはきちんと押さえつつ、小さな一歩から取り入れてみることが続けられるポイントです。
「温活」を自分の暮らしに取り入れて、冷え知らずな身体を目指していきましょう!
参考文献
一般社団法人日本温活協会 温活士養成講座テキスト
身体を温める美味しいレシピ ぶんか社
一汁一菜でよいという提案 新潮文庫 土井善晴著
身体を温めるとキレイになる!PHPビジュアル実用BOOKS石原結實著
薬膳&漢方の食材事典 ナツメ社 坂口珠未著
毎日使える!野菜の教科書 宝島社
病気にならない蒸しショウガ健康法 アスコム
体の不調が消える腸を温める食べ方 青春出版社