30代になると、肌の変化に向き合う必要が出てきます。乾燥・毛穴の開き・シミは30代に多い肌トラブルのトップ3です。この記事では、水の美容効果と、肌と身体の悩み別におすすめの水の種類を解説します。身体の外側からも内側からも水分をチャージして、美肌を目指しましょう。
著者情報
笹野かず
コスメコンシェルジュ/美容ライター
コスメコンシェルジュ、日本化粧品検定協会の資格を取得し、現在は、美容ライターとして美容コラムをはじめ数多くの記事を執筆する。
SNSでは”最旬の美の知識”を発信中。プライベートではサウナが趣味。
一日に摂取する水分量は1.5L~2L
水は生きていくために必要不可欠で、一日に1.5L~2Lの水分を補給する必要があります。
人の体の約60〜80%は水分とされており、私たちの身体は一日に約2.5Lの水を排出しています。(内訳:尿・便で1.5L、汗・呼気で1L)
体内では食べ物を分解しエネルギーに変える際に、化学反応によって約0.5Lの水が作られています。
また、食事から約1Lの水分を摂取しています。水やお茶などの飲み物を平均的に1L程度を摂取していますが、意識しないと下回る事もあります。汗をかいたりすればすぐに水分不足に陥るため、一日の水分量は少し多めの1.5L~2Lを補給するのが推奨されています。
体内の水分が不足すると脱水症状を起こし、老廃物も溜まりやすくなります。その結果、便秘や肌荒れ、頭痛、ひどい場合は熱中症、脳梗塞や心筋梗塞といった病気を招くこともあります。意識して水を飲み体内の水分を保つことで、健康にも美容にも嬉しい効果が期待できます。
水は飲みすぎもよくありません。夏場でも1日に飲む水の量は3Lまでにしましょう。限度以上に水を飲むと、水中毒になります。
一日1.5L~2Lの水分量に、お茶やコーヒーは含めません。お茶やコーヒーには様々なメリットはありますが、水が本来持つ効果は期待できないため、水を飲むよう心がけましょう。
老化すると体内の水分量が減少する
年齢と共に体の中の水分量は減少します。一般的な水分量は、新生児で体重の約80%で、高齢者になると約50〜55%まで減少します。体内の水分量が減るという事は、肌の水分量も減るため、新生児の肌はぷるぷるしていますが、高齢者の肌は乾燥しているのも納得だと思います。
加齢と共に体内の水分量が減少する理由は、成長するにつれて水分を含まない体脂肪などが増え、また、老化によって細胞内の水分が減少するためです。
老化すると体の中の水分が失われていきます。しかし、これは逆に言うと、生きるために必要な体内の水分量を毎日補う事が健康的な美しさを保つ事に繋がるのです。
水の美容効果
水を飲むことは、以下のような美容に嬉しい効果が期待できます。
むくみ防止
水分を摂ると、体がむくみやすくなると思っていませんか?むくみは、本来なら排出されるべき水分が体に溜まることで起こります。これは、水分不足を感じると危険を察知した脳が汗や尿を出さないように指令を出すためです。水分を摂って排出することがむくみの解消に繋がります。
ダイエット
水を飲むことで、ダイエット効果がある事が実証されています。
体内に水分が十分に巡ると、栄養素や酸素も巡り、新陳代謝が活発になり、消費エネルギーもアップします。ドイツ栄養研究所の観察によると、水を飲んだ後の消費カロリーは30%も増加し、その効果は10~40分後にピークに達します。また、体内の水分が十分にあると、血液中の水分量も増え、血液がサラサラになり老廃物を排出します。
さらに水に含まれるマグネシウムには食欲抑制効果があり、胃液が薄められる事で食欲が抑えられ、食べ過ぎや間食を防ぐことにも繋がります。
若々しい肌を保つ
体内にある水分のうち3分の1は血液やリンパ液など細胞の外にあり、3分の2は細胞の中に存在します。肌の潤いを保つには、細胞内に水分が十分に存在する必要があるのです。
肌の内側(真皮)の約70%はコラーゲンと呼ばれるタンパク質が占めており、その隙間を保湿力の高いヒアルロン酸で埋めています。体内の水分量が減ると、肌のヒアルロン酸が減少して乾燥します。
水分不足は肌のターンオーバーにも関係しています。肌のターンオーバーは20代で約28日で、加齢と共に周期が遅くなります。水に含まれるカルシウムは、肌のターンオーバーをサポートして、くすみの無い、みずみずしい肌に導きます。肌のターンオーバーが整う事で、古い角質が落ち、毛穴の黒ずみや開きの改善にも繋がります。
ニキビを予防
ニキビは、脂肪の多い食事、睡眠不足、身体が酸性に傾いている事などが原因で発生します。お菓子は身体を酸性に傾け、血液をドロドロにして血行不良を招き、炎症を起こしやすい身体を作ってしまいます。
ニキビ予防や改善には、身体を弱アルカリ性に戻す必要があるため、アルカリ度の高い水を飲むとよいとされています。(ニキビを外側からケアする際は、肌を弱酸性に保つ必要がありますが、内側からケアする際は、弱アルカリ性に保つ必要があるため、注意してください)
疲労回復
水には疲労回復効果もあります。
体内に疲労物質である乳酸が溜まると、疲労感を感じます。炭酸(二酸化炭素)は疲労の原因である乳酸を捕らえ、身体を中和してくれます。乳酸を尿として排出することで疲労感が解消されます。運動後、炭酸水を飲むとすっきりするのはこのためです。
水の種類
水は硬度とpH値という単位でその性質が分類されます。
水の硬度
水には、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどのミネラルが含まれています。硬度とは、水1L中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を数値化したものです。硬度が少ないものを軟水、多いものを硬水と分類されます。
pH値
pH値は、水素イオンの濃度を表した指数です。7を中性として、7より大きいほどアルカリ性、小さいほど酸性の性質が強くなります。健康な人は体液がpH7.4の弱アルカリです。
アルカリ性の水は酸性に傾いた身体をアルカリ性に改善し、新陳代謝を高め、巡りを改善します。アルカリ性の水には活性酸素を抑える働きもあるので、アンチエイジングにも効果的です。
水の種類の見方
硬度とpH値が分かった所で、ペットボトルのラベルの見方を解説します。
例)硬度が1468mg/Lで、pH値7.4のため、超硬水の弱アルカリ性の水です。
例)硬度が59mg/Lで、pH値8.8~9.4のため、アルカリ性の軟水です。
pH値や硬度は、ペットボトルのラベルに記載されているので、購入する際に確認してみましょう。
悩み別のおすすめの水
お悩み別に、おすすめの水を紹介します。
美容にはアルカリ性の軟水、アルカリ性の炭酸水、水素水
アルカリ性の軟水は、ターンオーバーを正常化し肌の新陳代謝を高めてくれます。古い角質やメラニンの蓄積、血行不良によるくすみ対策にも効果を発揮します。
軟水では物足りない時は、カルシウムが含まれている中硬水もおすすめです。カルシウムには、血流を促し、新陳代謝を高める働きがあります。
炭酸水は血管を拡張させ血行を促進します。天然の炭酸水はpH7以下の弱酸性のものが多いので、ラベルを見てアルカリ性の炭酸水を選ぶようにしましょう。
肌のシミや美白には、活性酸素の発生を抑える、アルカリイオン水または水素水がおすすめです。
私たちの体は中性~弱アルカリ性に保たれています。アルカリイオン水が美容に良いからといってpH9〜10の水をいきなり飲むと体に負担がかかります。まずは、pH7.4くらいからはじめ、体を慣らしていくとよいでしょう。
ダイエットには中硬水または超硬水
カルシウムは腸の動きを活発にし、腸に溜まった脂肪を便と共に排出します。マグネシウムには便を柔らかくする効果や食欲抑制効果があります。カルシウムとマグネシウムの量が多い中硬水がおすすめです。集中してダイエットしたい方は、「コントレックス」などの超硬水はさらにダイエット効果が高いです。食事前や小腹が空いた時に飲むと、食欲が抑えられます。
便秘には硬水
水分不足になると、代謝が低下し腸の活動も滞ります。便秘にお悩みの方は、まずは十分な水分摂取を心がけましょう。
マグネシウムを多く含む硬水は便を柔らかくします。
目覚めた直後に、少し冷えた水を飲むと、交感神経が優位になり、腸が活発に動き便意をもよおしやすくなります。効果を感じづらい方は、超硬水や超硬水のミネラル炭酸水を試してみましょう。
疲労には炭酸水または弱アルカリ性の水
炭酸水には、疲労物質である乳酸を排出する働きが期待できます。
一時的な疲れには炭酸水が有効ですが、慢性疲労の場合、酸性に傾いた身体を弱アルカリ性に戻す必要があるため、弱アルカリ性の水を飲むのがおすすめです。
肌の透明感にプラチナウォーター
プラチナ(白金)の小さな粒子(プラチナのコロイド)を配合している水です。プラチナは金属でありながらサビない性質を持っており、抗酸化作用があります。飲むのはもちろん、化粧水の代わりにスキンケアに活用するなどアンチエイジング効果が期待できるとして話題です。
女性特有の悩みには海洋深層水
太陽が届かない水深200mよりも深い海水で塩分を抜く処理をされた水です。カルシウムとマグネシウムが多く含まれており食品分野で活用されています。肩こり、高血圧、骨粗鬆症、便秘、更年期障害、PMS(月経前症候群)など、女性特有の悩みにも効果が期待できます。
また、海洋深層水に含まれている物質から研究用細胞培養液の開発が盛んに行われており、これをベースとしてアンチエイジングや機能性化粧品なども展開されています。
美容効果をアップさせる水の飲み方
水を飲むタイミングは喉の乾きを感じた時ではなく、喉が渇く前がおすすめです。マスクによって、呼吸数が増え、体感温度も上がっているため、特にこまめな水分補給は必要です。
具体的には、起床時と就寝前、出社後と退社前、食事の前後、入浴後など1〜2時間おきにコップ一杯150mlの水を10回に分けて飲むのがおすすめです。
また、運動時や夏、緊張した時など喉が渇いた時は300ml飲むなど、一回に飲む量を少し増やしましょう。
<おすすめの水の飲み方>
朝:目覚めの一杯で血液をサラサラに。
空腹時:食事の合間の空腹時にゆっくりとコップ一杯の水を飲みます。ダイエットにも効果的で硬水であれば満腹感も期待できます。胃の弱い方は軟水がおすすめです。
就寝前:就寝中に失われる水分を寝る前に補給します。
注意事項
お茶・牛乳・ジュース・コーヒーは厳密にいうと水とは異なります。こちらで解説している一杯には含まれません。また、冷水よりは、37〜40℃の体の内部の温度と同じが理想です。これは、冷水によって内臓を冷やし過ぎると新陳代謝の低下を招くためです。
毎日の水飲み習慣で、アンチエイジングを!
加齢にともない、体内の水分量は減っていきます。細胞が水分不足になると肌も乱れ、様々な不調を招きます。体に合う続けやすい水を試しながら、水を飲む習慣を身につけて、うるおいのある生活を送ってください。
参考文献
厚生労働省:食品規格部会参考資料
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000178391.pdf
日本化粧品検定2級・3級テキスト
「病気が治る!水飲み健康法」(宝島社) 東京医科歯科大学名誉教授 藤田紘一郎 監修